一般社団法人 日本薬剤疫学会

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連続横断研究 Serial cross-sectional study

定義

連続横断研究(Serial cross-sectional study [Serial prevalence studyとも呼ばれる])は、定期的に新たな調査集団をサンプリングして横断研究を繰り返す研究デザインである。時代変化に伴うある事象の経時変化を記述するために実施されることが多い(例:国勢調査の結果を用いた年齢分布の経時変化の記述、診療報酬明細書のデータを用いたある治療薬の処方割合や用量の経時変化の記述)。同一の集団を追跡しているわけではないのでコホート研究とは異なる。

実例

1999年から2018年の米国のNational Health and Nutrition Examination Surveyに参加した20歳以上を対象とし、心血管疾患のリスク因子(BMI、HbA1c、現在の喫煙状況)の経時変化を明らかにする連続横断研究が実施された。その結果、1999年から2018年で性年齢調整済みBMIの平均値が28.0[95%信頼区間(95% CI), 27.5–28.5](1999–2000年)から 29.8[95% CI, 29.2–30.4](2017–2018年)、ヘモグロビンA1cの平均値は 5.4%[95% CI, 5.3–5.5](1999–2000年)から 5.7%[95% CI, 5.6–5.7](2017–2018年)などリスク因子の変化が認められた。

参考資料

    • He J, Zhu Z, Bundy JD, Dorans KS, Chen J, Hamm LL. Trends in Cardiovascular Risk Factors in US Adults by Race and Ethnicity and Socioeconomic Status, 1999–2018. Jama 2021; 326: 1286–98.
    • Strom BL, Kimmel SE, Hennessy S. Pharmacoepidemiology. Chichester, West Sussex, U.K. : Wiley-Blackwell, 2012.
    • 景山茂, 久保田潔. 薬剤疫学の基礎と実践. ライフサイエンス出版, 2021.
    • 木原雅子, 木原正博 訳. 研究デザイン 8 横断研究とケースコントロール研究をデザインする 横断研究. In:医学的研究のデザイン : 研究の質を高める疫学的アプローチ. メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2009. p.113–7.